気づけば、家を出ていた。
財布の中には銅貨―――10円玉が10枚。100円だ。
今は夜の11時。小腹が空いたので、これでカップ麺でも買おうという魂胆である。
ちょうど、まだ読んでいない週刊誌や、絶対に読みたいと思っていた月刊誌のとある漫画の発売日でもあったため、私は突き動かされるようにコンビニに出向いた。
漫画を一通り読み終え、カップ麺のコーナーを覗く。
そこで立ち尽くした。
150円。この記述にどれほど絶望感を味わったことか。買えない。買えるはずがないのである。私が持っているのは100円、カップ麺は150円。決定的な50円によって、私がコンビニに出向いた目的の一つは阻止されてしまった。
私は外に出て、寒い風を浴びた。かすかに濡れた路上を滑るように走る自動車が見える。もう終わりだ。このコンビニに用はない。
凍えそうな夜を、肩を狭くして歩く。
結局、私は帰ってインスタントの味噌汁を啜った。
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- DATE : 2007/12/04 (火)
名古屋行ってきました。
- DATE : 2007/12/04 (火)